WIRED VISION / 小島寛之の「環境と経済と幸福の関係」
第4回 『不況のメカニズム』は、いかにすごい本かhttp://wiredvision.jp/blog/kojima/200706/200706120108.php
で紹介されていて興味を持ったので
「不況のメカニズム - ケインズ『一般理論』から新たな『不況動学』へ」、小野善康、中央公論新社
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31881167
を買ってきて東京出張の往復の機上で読みました。たった780円、200ページちょいの物理的には軽い本でしたが、結果として目から鱗ポロポロで大いに知的な楽しみを与えてくれ、考え方を納得ずくで軌道修正させてくれる本でした。
ケインズ派と新古典派の経済学の対立点から説き起こしてケインズの「雇用・利子及び貨幣の一般理論」の不十分な点を指摘、改良しつつ不況という経済現象を理解するモデルを平易に説明してくれる良書。上掲の小島寛之氏のblogによればケインズの「一般理論」を読んで挫折した経験があるほうがより楽しめるそうですが、別に読んでなくても十分興味深く読めました。かなり平易なので経済学については高校の「現代社会」科いらい、まぁ素人と言ってよい私でも背景知識がなくて困るということはありませんでした。(理系人としてはもうちょっと式があってもよかったかなと感じるくらいに平易。)
内容ですが、
という構造を判りやすく解説してくれます。そしてこの需要不足という前提の下では古典的(である意味素朴)な市場中心の考え方は(局所的にはよさそうに見えてもめぐりめぐった結果)必ずしも良い結果をもたらさないことを様々な例を挙げて解説してくれています。例えば:
などなど。またその一方でケインズ経済学の誤りを正して「乗数効果」を否定し、単なるばら撒き(特に地域振興券とか)には価値がないことを明確に述べて、公共事業の価値は作り出された財(設備・サービス)自身の価値のみ(投入資金に対して収益を上げる必要はなく赤字でも良いが、需要がないのだけはダメ)であることも論じています。
私は今の公共事業のあり方に割と否定的だったんですが、この本を読んでかなり修正されましたw。
第4回 『不況のメカニズム』は、いかにすごい本かhttp://wiredvision.jp/blog/kojima/200706/200706120108.php
で紹介されていて興味を持ったので
「不況のメカニズム - ケインズ『一般理論』から新たな『不況動学』へ」、小野善康、中央公論新社
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31881167
を買ってきて東京出張の往復の機上で読みました。たった780円、200ページちょいの物理的には軽い本でしたが、結果として目から鱗ポロポロで大いに知的な楽しみを与えてくれ、考え方を納得ずくで軌道修正させてくれる本でした。
ケインズ派と新古典派の経済学の対立点から説き起こしてケインズの「雇用・利子及び貨幣の一般理論」の不十分な点を指摘、改良しつつ不況という経済現象を理解するモデルを平易に説明してくれる良書。上掲の小島寛之氏のblogによればケインズの「一般理論」を読んで挫折した経験があるほうがより楽しめるそうですが、別に読んでなくても十分興味深く読めました。かなり平易なので経済学については高校の「現代社会」科いらい、まぁ素人と言ってよい私でも背景知識がなくて困るということはありませんでした。(理系人としてはもうちょっと式があってもよかったかなと感じるくらいに平易。)
内容ですが、
- 流動性の価値にひっぱられて所得が投資と消費ではなく「貨幣」のため込みに向かい、需要が不足する
- 需要が不足するため非自発的失業が起こる
という構造を判りやすく解説してくれます。そしてこの需要不足という前提の下では古典的(である意味素朴)な市場中心の考え方は(局所的にはよさそうに見えてもめぐりめぐった結果)必ずしも良い結果をもたらさないことを様々な例を挙げて解説してくれています。例えば:
- 小さな政府」を初めとする組織単位での節約(歳出・支出の削減)は国民経済全体から見るとかならずしも効率的ではない
(局所的な効率が全体の効率化に結びつく保証はない) - 特に非自発的失業で労働力が余っていることこそが真の非効率であり、税や社会福祉による富の再分配は「人道的」という曖昧な理由によるものではなく社会全体の効率化に寄与する合理的な選択
(ただし残念ながら政治的に大きな影響力を持ちがちな「成功者」に対しては、短期的局所的な観点では支出を求めるため彼らの反対は大きい。とはいえ長期的には景気が良くなればめぐりめぐって「成功者」にとっても+。) - 政策としての成功者優遇は貨幣ため込みに向かうだけで実投資に結びつかず景気を改善するどころか失業を増やし悪化させる。
(最近のゆるやかな景気回復は成功者優遇政策ではなくむしろ世代交代によって投資を恐れない=貨幣の流動性の価値を高く評価しすぎない世代の割合が増しているほうが主な理由) - 国際競争力をリストラによって高めると自国通貨高を招き却って国民経済全体としては不況は進行する
などなど。またその一方でケインズ経済学の誤りを正して「乗数効果」を否定し、単なるばら撒き(特に地域振興券とか)には価値がないことを明確に述べて、公共事業の価値は作り出された財(設備・サービス)自身の価値のみ(投入資金に対して収益を上げる必要はなく赤字でも良いが、需要がないのだけはダメ)であることも論じています。
私は今の公共事業のあり方に割と否定的だったんですが、この本を読んでかなり修正されましたw。
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