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2024/11/25 00:52 |
企業問題 ~ 競争力が翳っている原因は本当に法人税?
最近注目してた話題で記事が目に留まったので紹介。

自民税調 法人税下げ見送り
企業優遇批判に配慮

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sei/20061206/mng_____sei_____002.shtml


…さすがにな。ただ自民党に献金をしまくってることで名高い経団連などは諦めてるわけではないので今後どうなるか。

現状、談合や不当労働行為で不当な利得を得てる企業が当たり前にいることを思えば、減税を言う前に経済界は自らの襟を正すべきだろう。

「日本版コンプライアンス(社会規範遵守)」とは献金に基づく政治力によって企業が守れる範囲まで法規範や社会規範の方を引きずりおろすことだと皮肉られるような現状を経営者は少しは恥じた方がいいだろう。特に以下の記事でも出てくるように経団連はその要求があまりに露骨で恥も外聞もなさ過ぎる。


[特報]談合根絶の処方せん 
身びいき『官製』招く

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20061120/mng_____tokuho__000.shtml

「例えば、公共工事入札の課徴金(売上額に対する罰金)は今回の独禁法改正で6%から10%に引き上げられたが、15%に上げる案は経団連が恥も外聞もなく反対した。10%では仮に落札率を95%とすると、業者の取り分は予定価格の85%。土木で67-68%、建設で75-83%といわれる損益分岐点をまだ上回っている。つまり、利益は罰金を科せられても出るわけで、痛くもかゆくもない。」

(まぁ、前奥田会長にしてからが、「談合は日本の文化で、なくならない。」という趣旨の発言があったという話もあるようだし…。参考:鋼鉄製橋梁の談合事件 5月27日(金)http://www.election.ne.jp/10375/archives/0000976.html


[特報]日本版ホワイトカラー・イグゼンプション
サービス残業 青天井

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20061206/mng_____tokuho__000.shtml

「経済アナリストの森永卓郎氏は「今でも残業代は四割くらいしか払われていないのに、経団連が(全労働者の約半数の)『年収四百万円以上』としているのは残業代を抑制し、ゼロにする目的がある。これではサービス残業が増えるに決まっている」と批判する。 」

以下個人的な意見。

そもそも今の日本企業の多くに国際競争力が欠けているのは、経営・組織・営業の問題、つまるところは情報の伝達と意思決定のプロセスに問題あるからだ。まず全体に遅く、特に伝統的な上意下達式で風通しが悪く現場の情報が上に上がらず、上は上で強権的だが責任の所在は明確にしない。そんな企業が競争力に欠けるのは当然で、そういう企業が別に珍しくないから競争力が翳るのだ。となればそれは税制のせいとは言えないのではないか?それに昨今話題の企業統治や法令順守、安全の問題も根本は同じであるだろう。

例えば、一時は成功した経営者の見本のようにもてはやされ、ビッグマウスな発言を連発していたにも関わらず、最近裁判で無責任な「知らなかった」、「任せていた」を連発してるホリエモンにしてもそうだが、なにか不祥事があると社長や役員など経営陣が当たり前のように「知らなかった」、「任せていた」と釈明するシーンが見られるが、もしそれが本当ならば、その知らないということ自身が経営上の大きな問題だ。知らない、把握していないということにすれば、確かに当面の刑事責任は回避できるかもしれんが、経営者としてそういう表明は無能の自白に近い。

さらに信じがたいのはそういうあからさまな経営能力に関する無能の自白があってさえも、経営者が経営上の責任を問われることが滅多にないということだ。多くは頭を下げて終わり。まさに茶番劇。昨今では「リストラ」と称して(本来の意味のリストラクチャリングとは全く異なる。)、事業が失敗すれば末端は直接責任がない場合でさえも解雇されたり、よくても配転されたりするのに役員以上ではそういうことはないのが当たり前にまかり通る。これはまさにトップ人事でさえそうだという意味で、全社的に意思決定プロセスがまともに機能していない企業が珍しくないことの端的な例だろう。

そういえば私がかつて在籍していた大手電機メーカーF社の研究所でも、部長就任間もなく部下に向かって「部長は名誉職なので、今後は楽させてもらう。」と真顔で言い切った部長が存在したが、案外とそんな感覚がある社長、会長も少なくはないのかもしれない。もちろん経済的に考えてみればそんなことあるわけがないのであって、よほど事情がない限り名誉職に沢山の給与は払わないし、払えないのが普通だろう。

また企業における意思決定プロセスの不備は別の問題にも繋がる。その一つとして、組織的なマーケティングがなされていないという指摘(「やっぱり変だよ日本の営業―競争力回復への提案」宋 文洲 著 http://item.rakuten.co.jp/book/1433256/ など)がある。組織的な需要の調査もなく、思いつきや技術部門の独走で出来ちゃった商品をゴリ押し(「熱意」などと称される)で押し売りする営業が普通にまかり通っているために商品の企画・展開が魅力的でなく、需要のない無駄な商品あるいは、家電などであれば需要のない無駄な機能が多いという問題だ。

例えば、携帯電話に中途半端なゲーム機能や中途半端なカメラ機能が本当に必要だろうか?それは単なる抱き合わせ販売ではなかろうか?もちろん選択肢の一つとして別にそういう複合商品が存在してもいいが、主力商品というのはどう考えてもおかしい。確かにそれらの機能を使ってる人がいないではないが、周囲を見渡してみても多数派とは到底思えないからだ。それらの「高機能端末」は見かけ上端末価格安いので売れているように見えるが、これは販売奨励金という名目で間接的に電話会社が払っているわけで、それは結局のところ電話代に転嫁される性質のものだ。そしてその場合、中途半端な機能を欲しない人々もその代価を払わされるということでもある。

さらに、そんな非本質的な機能満載の商品があれほど短い期間(なんと数ヶ月!)でモデルチェンジを繰り返しているというのもおかしい。本来需要がないものを過度に頻繁なモデル・チェンジで釣るというのはまさに力づくの営業の典型であろう。そのためにモデル・チェンジが早すぎて使い勝手を改善するためのユーザー・テストをしている時間が取れず、使い勝手が改善できないという、もはや悪い冗談としか思えないような非常に本末転倒な話も私はメーカーの関係者から聞いたことがある。(実際の商品と実際の客でユーザーテストしているという冗談が出るほどだ。)そういえば意識して余計な機能のないものを選んだ筈の私の携帯にも、本来なら整理して一本化すべきである似たようなメールの機能(一方は通常のメール機能でもう一方は古いそのキャリア固有のメール機能)が2つとも搭載されており操作を無駄に煩雑にしている(メールの絵文字ボタンを長く押すと古い方の機能、普通に押すと新しい方の機能が立ち上がる。)。住所録のような機能も半端にはいっているが、私も含めそんな機能はいらないという人も少なくはないだろう。(正直、私は携帯電話のような文字入力コストが高い装置で住所録管理なんてしたくはない。)

加えてそんな無駄機能でも開発にはコストが掛かっているはずなのに、そっちのコストは下請けに出されることで見かけ上隠蔽されている。この隠蔽は問題を見えにくくして戦略的な経営判断を誤らせる元であり、その戦略ミスの尻拭いをさせられる最前線の正当な評価を妨げることにもなる。実際、携帯電話のソフト開発が非常「しんどい」というのはよく言われることだし、求人数が企業規模の割に異常に多い(つまり裏を返せば離職率が高い)携帯電話ソフト開発会社が普通に存在するし、偽装請負など不当労働行為がよく話題になる日本のソフトウェア業界のなかでも携帯電話関連は非常に悲惨な実体がしばしば伝えられる業種でもある。そしてそのような悲惨な労働条件で作られた製品の品質が良くなるはずはないから、いずれは品質面でも消費者の信頼も損ねる結果になろう。

献金で操った政治力による保護と補助金に頼った農政で農業がボロボロ(参入規制で後継者難、補助金のばら撒きや気候風土を無視した作物の官僚主導の選択による生産過剰や不作、高コストと…。大規模開発と借金漬けの農民。)になって結局政治勢力としても没落し、今や自民党に事実上見捨てられつつある(まだかなり保護されているけれど)という事例もある。企業が自らの体質改善を行わず不当な保護や、下請け相手の不当な取引、不当労働行為で目先の利得を得て、それを献金に基づく政治力で追認させて糊塗したとしても、長期的な競争力には結びつかず、いずれ行き詰るということを経営者は肝に銘じたほうがいいだろう。

もっともコケるのは織り込み済みで、コケるまでにガッポリ稼いで退職してトンズラするつもりの詐欺師的な経営者もいるかもしれないが、そんなヤツを経営者に据えて置いても社会的にいいことは一つもないわけで、そういう行動に出ないように社会的にキチンと監視すべきだろう。
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2006/12/07 04:38 | Comments(0) | TrackBack() | 空論

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